時代の困難の中、感動新たに
第24回卒業証書授与式
2021年3月13日、専門学校健祥会学園で第24回卒業証書授与式が挙行されました。コロナ禍が広がり始めた1年前は、一堂に会しての式典を見合わせましたが、今年は、規模を縮小し、広い健祥会パートナーにゆったりと座席を配置、十分に換気しながら、介護福祉学科34名、保育学科26名、理学療法学科33名、作業療法学科19名、計112名の門出を祝いました。来年度、開学25周年を迎える本学園は、時代の求める福祉スペシャリストの養成を使命とした四半世紀の歩みの中、今日で合計3,014名の専門職を世に送り出すことになります。
卒業証書授与・記念品贈呈、表彰ののち、卒業生の前途を祝し、理事長、学校長から以下の言葉が贈られました。
健祥会グループ理事長 中村太一告辞(抜粋)
世界中が「コロナ」に振り回された2020年、不自由や無念も多く経験した一方で、この度のパンデミックは、いのちの尊さ、家族の素晴らしさへの気づきをもたらすとともに、医療・介護そして教育・保育に携わる専門職がエッセンシャルワーカーとして、社会を支える必要不可欠のものであることを強く認識させてくれました。
皆さんにとっても学生生活最後の年に感染症と遭遇し、残念なこともあった反面、専門職として人として得難い学びもあったことと思います。
今、世界の人々は叡智の限りを尽くしてウイルスと闘っていますが、収束に至る保証はなく、私たちは今後、常に感染症に備え、対峙しながら、前を向いて生きていかねばなりません。
少子超高齢・人口減少時代に持続可能な新しい社会の姿を描くために、様々な分野で技術革新やシステムの変革が促されてきましたが、コロナ禍がこれを加速させ、世界は大きく姿を変えていくでしょう。「変化」と「不確実性」に充ちた世界をたくましく生き抜いてゆくために必要なのは、既成概念にとらわれることなく自由な発想で革新を生み出す力と、変化を受け入れる柔軟性、そして何よりも、確かな専門性です。本校での学びにより皆さんが獲得してきた専門性を、今後は実践の中で磨きながら、内なるイノベーションを続け、常に高みをめざしてください。
医療・介護、教育・保育の現場にも、さらにICTの活用や業務改革の波が広がると思われます。皆さん方には高い専門性に加え、先端技術を使いこなす力や経営の視点も必要であり、「生涯が学び」であると言えます。
医療も介護も保育も、制度内ビジネスですから、制度に左右される面は否めません。しかし決してそれに翻弄されることのないよう、現場を大切に、目の前の患者さん、利用者さん、こどもたちに、よりよいサービスを提供することを第一義として頑張ってください。
覚えておいていただきたいのは、専門の殻に閉じこもってはならないということ。社会の中に存在する多様性を知り、認め、常に広い視野に立って考えることを実践してください。時代は激しく動いています。アンテナを高く、社会の変化をしっかり捉えてこそ、明日へのアドバンテージを手にすることができるのです。
どうか、命に向き合う職として、人としてのぬくもりや本校で育んだ福祉の「心」を大切に、「礼儀と感謝」を具現化できる人でいてください。将来的に多くの職業が、AIもしくはロボットで代替可能になると言われていますが、人に向き合う医療・介護、教育・保育の仕事は、「心」と「優しい手」を持つ「人」にしかできない誇り高い仕事です。この国の明日を担う専門職として、社会的責務を自覚し、いのちへの畏敬と仕事への誇りを携えて、それぞれの道をしっかりと歩んでください。新しい時代は皆さん方を待っています。このことを胸に刻んで、社会への一歩を踏み出してください。
学校長 武田英二式辞(要約)
コロナ禍の中での勉強という大きな困難を乗り越え、皆さんが専門職というポジションを勝ち取ることができたのは、努力の賜物であると同時に、ご家族、友人、教職員、すべての人々の支援のおかげです。これからの人生には多くの試練が待ち受けていることでしょうが、それ以上に努力の向こうには希望や楽しみ、喜びに満ちた人生が待っています。卒業にあたって皆さんに伝えたいことを3点話します。
1. 専門職として皆さんの道は一つではないということ。道の先には様々な選択肢が待ち受けています。その都度しっかりと選び取って歩んでいってください。
2. 皆さんの持てるたくさんの知識と技術を、目の前の、支援を必要としている様々な人に、どのように使っていくかについて知恵を絞ってください。
3. 人生の目的を考えながら、日々を過ごしてください。そのためには専門にかかわらず、いろんな本をたくさん読んでください。
皆さんが頑張って険しい山を越えてきた日々を私は知っています。あの学びを続けていけば、きっと大きく成長できます。困難を前にしたとき、私のこの言葉を思い出し、さらに学びを積み、自分自身を磨き続けてください。皆さんが、家族、友だち、これから出会うパートナーとともに、希望に溢れ充実した人生を送ってくださることを祈念しています。
感謝と希望を胸に、新しい一歩を
式典には、例年、県内の高等学校・専門学校から校長先生はじめ多数のご来賓をお招きしますが、今年は同窓会会長 船越稔様のみにご列席いただきました。
船越様から、「コロナ禍で、利用者様や患者様に私たちが必要とされていることを改めて強く実感しました。私たちは何があっても前線に立ち続けなければならない専門職です。職責をまっとうするために前を向いて頑張る力強い姿には、医療福祉・教育保育の仕事の尊さがあふれています。まだまだ課題山積の現場ですが、経験を積み、生涯かけて学び続けてください」と先輩としてのはなむけの言葉をいただきました。
在校生代表からの感謝と激励の送辞を受けて、卒業生代表が「先生や仲間、家族、患者様やこどもたち、たくさんの方々に支えられ、大変だった勉強も実習も乗り越えてくることができました。知識と技術、人を思いやる気持ち、学園で学んだことを胸に、誇りを持ち、責任を自覚し、向上心を忘れず、努力を惜しまず、お世話になったすべての方々へ感謝し、専門職としての道をしっかりと歩みます」と答辞を述べました。
学園での日々を想いながら「仰げば尊し」を斉唱、そして「健祥会のうた~舞踏会~」の流れる中、思い出深い学生生活の一コマ一コマがスクリーンに大きく映し出され、卒業式が終了。雨上がりの青空に美しい雲のたゆたう春の日、112名の卒業生は、お世話になった方々への感謝と希望を胸に、新しい一歩を踏み出しました。